春は学年が変わったり、新しく社会人になったりと、変化の多い季節です。そして健診&検診の季節でもあります。
昨年きちんと受けた方は、この一年も無事だったかの確認を、昨年受けそこなった方は、今年こそは体調の見直しを忘れずにお願いします。
医師として仕事をしていると、なぜここまで放っておいたのかと、驚くような状態で、初めて医療機関を受診されたという方を診察することが時々あります。
当人にしてみれば、自分だけは大丈夫、自分だけは病気にならない、疲れているだけ、と思っていたのかもしれません。でもきっと、何か身体の不調を知らせるサインがあったはずなのです。
いつもどこかが重くて辛い症状を我慢していたのではないでしょうか。例えば寝ても寝ても疲れがとれないとか、咳がずっと続いているとか、夕方になると微熱が出てくるとか、何かいつもと違うことが起きているはずなのです。毎日忙し過ぎたり、緊張を強いられていると、自分がとても疲れていることに気づかないばかりか、自分のことがいつも後回しになってしまいます。
血栓が飛んで、脳や心臓の血管が詰まるような急激な変化を除くと、ほとんどの病気は、静かにじわじわと身体を蝕みます。音もなく、毎日毎日ゆっくり進行していきます。
高血圧、高脂血症、糖尿病などは、なりやすい遺伝子を持った人に起こりやすい傾向はありますが、食事の習慣、生活サイクルが大きく影響します。
癌も、親や血のつながった方にいると、なりやすさの遺伝は充分考えないといけませんが、最近の傾向をみると、癌を発症してしまう人は、働きすぎ、いい加減な食事、睡眠不足が慢性的にあって、健診または検診を受けていない方に多いです。
女性に特有の子宮癌や乳癌は、特にその傾向があります。子宮頚癌は、検診さえ受けていれば、異型細胞が検出された時点で、子宮癌撲滅の治療ができるのです。
乳癌も同様です。きちんと検診を受けていれば、たとえ癌を発症していても、早期に治療ができます。数年前クリニックに、ずっと胸に湿疹ができて治らないと受診した方がいらっしゃいました。乳癌が皮膚に浸潤したものでした。よく聞くと、貧血の症状や、分泌液などが長く続いていました。でもその内に良くなるのではないかと思っていたそうです。
健診&検診を毎年受けていれば、たとえ癌が発症し始めていても、まだ芽のうちにつんでしまうことができるのです。
自分だけは病気にならないとか、癌検診なんてまだまだ先のことなんて言わないで、健診の季節、または誕生日の月にでも、検査を受けてみましょうね。
ドックなどの時間がない方には、採血だけの微細ガン検診をおすすめしています。
私のクリニック目白
院長 平田 雅子