遅延型アレルギーとは?
皮膚では、late phase reactionといって、例えばお昼間に大掃除をしたら、夜痒くて眠れないとか、苦しいという症状を起こします。日中、花に触ったとか、犬と遊んだとかで、夜になってすごく痒くなった、苦しくなったという人がいます。子供にもです。それは皮膚の場合は、late phase reactionと当時は呼んでいましたが、7-8時間たってから起こるアレルギーがあるという考え方をしていました。
皮膚科医としてそういう人、皮膚が悪くなる人がいるというのがわかっていたので、食物で同じことが起こってもおかしくないなとは思っていました。けれども食物の検査を即時型で行って、ほとんど全部スコアが0だと、アレルギーではないと言い切っている先生達もいました。検査が大事だから、検査で何でもないと、病気ではないと。
でも病気というのはその人の訴えですから、数値がなんでもなくても、具合が悪ければ悪い。胃の検査をして胃がきれいでも、胃が痛かったら、その痛い対策をしなくてはいけないのが私たちの役目なので、検査して全く反応が出なかったら、何か他の原因を見つけなくてはいけないわけです。
普通に考えたら、食物も、食べてからしばらくして、食べた時にうって苦しくなるようなアナフィラキシー様の症状ではなく、時間が経ってから症状が出てもおかしくはありません。そういうアレルギーがあるのがわかっていたわけですが、ちょっと時間が経ってから出るものは、IgE(即時型)の反応ではないので、保険でできるアレルギーの検査では全く反応しないのです。
でもあきらかに食べると調子が悪いとか、ちょっと時間が経ってから、いがいがするとか、苦しくて息が詰まって死にそうになるわけではないけど、痒くなる人達がいて、それを遅延型アレルギーというのを10年ぐらい前に初めて聞きました。そういうアレルギーがありますよって。
確かにlate phaseで起こるものがあるのは知っていましたが、1週間ぐらい経って起こるのもあると言われて、それはどうかなと思ったのですが、便通が悪くて、1週間便が出ない人がいます。1週間食べ物が腸で滞っていることもある。そうしたら、合わないものが体の中にあれば、症状、アレルギー反応がでますね。と理解しました。
実際にこの検査を導入するにあたって、自分で検査をしてみたら、やはり非常にたくさん、遅延型食物アレルギーがありましたので、それで信憑性があるかなと思いました。しかも出ていたものに関して、ちょっとやめてみたら、口内炎がすごくでていたのが全く出なくなりました。乳製品がダメだとわかりましたし、果物もいっぱいでていましたし、野菜もいろいろあったので、自分で実際それをやめてみたら、いろんな自分の不調がなくなったのです。やはり口から入るものは大事と思っていましたが、確かにそうだなと確信しました。
大事なことは、採血をして結果をもらうだけではなくて、その結果の解析です。たくさん患者さんを診ていることでわかってくることがあります。例えば、やたらいっぱいのものにアレルギー反応が出ている人というのは、一般的な解釈として、スコアの高い食物に気を付けて、やめてみるということも大事だし、中くらいだったら、食べ過ぎなければ大丈夫ということになるわけです。
ですから小麦がちょっと出ていたら、朝パンを食べているぐらいならぜんぜんびくともしないけれど、朝パン、昼にパスタ、夜うどん、日中ケーキやクッキー食べていましたとなると、ものすごい量の小麦が入り、それなりに蓄積していくので、症状が出たり、すぐではなくて、次の日がだるかったり、もうどうにもならないだるさだとかが起きます。いつも膨満感があるとか、口角だとか目の周りがいつも赤いなどの症状は、意外と遅延型アレルギーが原因だったりするわけです。
次回はどんな方が遅延型食物アレルギー検査を受けたほうがよいかについてお話します。
私のクリニック目白
院長 平田 雅子