正しい洗顔方法と聞くと、どんな洗い方を想像されますか。しっかり洗う。ダブル洗顔は当たり前。できれば蒸しタオルで毛穴を開かせて・・・等々思い浮 かびますね。でも実は、“正しい洗い方”という決まったものはないのです。
顔の皮膚って毎日コンディショ ンが違います。前の日にどんな部屋で過ごしたのか、寝ている部屋が乾燥していなかったか、しっ かり栄養は摂れているか、飲み過ぎてはいないか、睡眠は充分かなどで、皮膚のバリアは変わっ てしまいますから、本来なら毎日皮膚と相談してから洗い方を決めてほしいくらいなのです。皮膚の状態は体調に大きく左右されます。同じ人の皮膚でも毎日違うということです。乾燥が強くてかゆいなら、クレンジングだけでさっと流せばよいのです。皮膚を守る事をいつも心がけていれば大丈夫。難しくはありません。
丈夫な皮膚を作るためには、まずは水洗顔がお薦めです。絶対に水です。百万歩譲って、冬は夏の水温くらいでもよいですが、ぬるま湯よりずっと水に近づ けてくださいね。水で洗うことで皮膚を守っている皮脂を落とし過ぎず、洗いながら皮膚を守る 事になるのです。これだけで、もうかなりいいところまで来ましたよ。
さて、次に両手で顔の皮膚を触ってみてください。皮脂の多いところと少ないところがあります よね。Tゾーンは皮脂が多く、Tゾーン以外は乾燥しています。特に目の下から頬骨にかけては、本当に薄いのです。顔全体を同じように石けんで洗うと、下まぶた周辺は48時間くらい皮脂が戻ってきません。そして48時間の間にまた何度か洗顔しますから、慢性的に乾燥してバリアはどんどん 落ちてしまいます。という訳でTゾーン以外は軽く流すだけで充分です。日焼け止めやファンデーションを毎日しっ かり塗っていても、ダブル洗顔はTゾーンのみで大丈夫です。
そうそう、患者さんの大きな勘違いの一つは、皮膚がいろいろ吸収すると信じている事です。確かにそんなイメージありますよね。でも皮膚のバリアは物凄く強くて、何ものも中に入れることはないのです。皮膚は実は排泄器官、 一度外に出した汚れや汗をまた吸収したりすることは絶対にありません。だからどんなに厚化粧 しても、皮膚の上にのっているだけで、中に入っていくことはないのです。
さぁ今日から皮膚がキュッキュッっという程しっかり洗ったりせず、大事に守っていきましょう。
私のクリニック目白
院長 平田雅子