口唇や、口唇と皮膚の境、目の縁などに突然、小さな水疱が重なるようにできます。水疱が出る前に硬く腫れたり、赤くなったりする事もあります。ヘルペスの自覚症状は、痛かったり痒かったりですが、発現前には、むずむずした痒みや違和感があります。
HSV(ヘルペス ジンプレックス ウイルス)の感染でできるものを、一般的には単純性ヘルペスと呼んでいます。顔など上半身にできるものをⅠ型といい、口の近くにできると、口唇(こうしん)ヘルペスと呼びます。
成人ではこのウィルスが、三叉神経に50~70%潜伏しています。陰部を中心とする下半身にできるものを、Ⅱ型としていましたが、現在はⅠ型とⅡ型の境目が無く、混合感染も多く報告されています。
昔は口唇ヘルペスを“風邪の花”とか“熱の花”と呼んでいました。風邪をひいたときや熱が出た時に、パッと花が咲くように出現するからです。
口唇ヘルペスを診察する時は、体調も確認します。積み重なった疲れ、栄養不足や寝不足なども影響します。
過度の日焼けで、皮膚のバリアが落ちた時も出やすくなります。疲れ気味で飲み過ぎた翌日に寝不足で海に行ったり、屋外でスポーツをした後に、突然ヘルペスが出て来院されるケースはよくあります。また女性では、生理前の抵抗力が落ちている時期に、毎回出現する方もいます。
繰り返しヘルペスを出さないためには、いつも体調が落ちないように栄養を摂り、皮膚の乾燥に注意し、日焼けをしないようにすることが大切です。口唇にも日焼け止めクリームを塗ります。熱いものや、辛いもの等の刺激物が、ヘルペスができる周辺に触れないこと。タバコの煙も影響します。
よくヘルペスができる方は、皮膚科で薬を処方してもらい、違和感を感じたら直ぐに薬を塗って、ひどくならない内に押さえましょう。長い期間にわたり、頻繁に繰り返す場合は、少量の抗ウイルス剤を長期に内服する治療法もあります。
ひとりで悩まずに皮膚科で相談しましょう。
私のクリニック目白
院長 平田 雅子