皮膚にできる茶褐色や黒色の小さい点状の色素斑をほくろと呼びますが、皮膚科学的には色素性母斑または母斑細胞母斑といい、大小さまざまで平らなもの、ふくらんでいるもの、円形のもの、楕円形のもの、不整形なもの、毛が生えているもの(有毛性)などがあります。
比較的大きなものは、生まれた時からあることが多いのですが、小学生頃から増えて来ることが多いです。多くのほくろは、メラニン色素を作る色素細胞が増殖した良性の腫瘍です。良性のものなので悪性化することは稀です。
よくほくろを取ったら死んでしまったという話を聞くことがありますが、おそらくは、これはほくろではなく、メラノーマ(悪性黒色腫)という悪性腫瘍と考えられます。
メラノーマは、色素細胞が、がん化したもので、人にできる癌の中で一番悪性で、周囲をかなり離して切除しても、転位も早く、あっという間に命を落としてしまうこともあります。薬も効きにくく、進行が早いのです。日本人のメラノーマは、足の裏や爪の根元などにできることが多く、最近は年々増える傾向にあります。
見分け方としては、メラノーマは辺縁がギザギザしていて不正形です。非対称で色は濃淡があります。良性のほくろに比べて境界が不鮮明です。急に大きくなったり、色調が変化してきたときは要注意です。
でき始めの段階で切除すれば、悪性化を防ぐことは可能です。疑わしいときは皮膚科で診察を受けてくださいね。
私のクリニック目白
院長 平田 雅子