皮膚科医になって間もない頃に、『二十歳までに人生の半分の紫外線を浴びる』と言われている事を知り、私はかなりショックを受けました。それと同時に、子供…特に赤ちゃんのうちから、日焼けを防御する対策を立てて、子供達を守っていかなくてはならないと考えました。赤ちゃんのうちから皮膚を守るには、一番身近にいるお母さんの協力が是非とも必要です。
ほとんどの日本の子供達は、陽射しに対して無防備で、一年中白い体操服を着て、屋外で体育授業があります。休み時間に外で遊ぶ子供もたくさんいます。日焼けの対策は何もされていません。夏に日焼けをしておくと冬に風邪をひかないと信じられてきました。子供は日焼けして真っ黒が健康的!と思っている園長先生、校長先生は今尚、多数いらっしゃいます。
無防備な日焼けを絶対にしてはいけません。
紫外線は、皮膚に炎症を起こすだけでなく、免疫力を低下させます。もちろん紫外線のよい面もありますが、無謀さは禁物です。ここ数年前から、やっと日本でも天気予報に紫外線の警告が出るようになりました。
2000年に日本でも、札幌、つくば、鹿児島の上空で、オゾン層の破壊が確認されましたが、その後の10年の間、対策もあまりされないまま、皮膚癌はじわじわ増えています。
危険は迫っています。子供達を一緒に守りましょう。紫外線を繰り返し浴びる事や、急激に大量に浴びる事で、身体の中に活性酸素が発生し、皮膚の細胞のDNAを壊していきます。紫外線を浴びた皮膚は、10~20年の間にシミやしわを作っていきますが、同時に癌を発生させる事もあります。
子供に一日中ついている事は不可能ですが、日焼け対策はできる範囲でしていきましょう。出かける前に必ずUVクリームを塗ります。一年中塗りましょう。一日中、何回か塗りましょう。白いTシャツは、紫外線を透してしまいますから、戸外では色付きのTシャツにします。日焼け止めクリームは、顔だけでなく首、腕、脚にも塗ります。耳が出る髪型では、耳にも日焼け止めを塗ります。また、日焼けの怖さについて、子供と一緒に話す事も大切な対策です。
最近は海に行ったとか、山に行ったとかでの日焼けよりも、外でほんの少しの立ち話や公園で子供を遊ばせていて、または自転車で買い物に行って等、短い時間での日焼けの被害が増えています。紫外線の危険はますます増えるばかり。
GW前に、今一度ケアの確認を。
私のクリニック目白
院長 平田 雅子