認知症になってしまったら、その人の元の職業がなんであれ、研究していたことがなんであれ、一生懸命やってきたことがなんであれ、もともとの性格が強く出てくる。そんな気がします。
人は病気になると、悪いところ弱いところがはっきり出てきますから、認知症もおそらく同じだと思います。
私の母は、もともと性格が悪い。親戚中から嫌われているようなおばさんでした。笑っちゃいますが、人を見たら泥棒と思えが座右の銘です。
で、ただいま認知症真っ盛り。よく物をなくすと言うよりも、自分でしまい込んでわからなくなってしまうのですが、すぐ人に盗まれたと思うようです。
先日は鍵をなくしました。時々バックもなくなります。それからいろんなもの、例えば、家に届いたみかんがなくなったり、お金もなくなります。
みかんは、自分で食べたからです。お金も、毎日1,000円分買い物したら、10日で10,000円なくなることを忘れて、10,000円盗まれたといいます。
さぞかし施設の方は大変だと思います。でもずっと盗まれたが続きます。時々心配してもらうために隠しているようなところもあります。
先日はなんと、入れ歯が盗まれたと言っていました。このときばかりは、入れ歯はお金を積まれても、誰も欲しくないからと話しましたが、絶対に盗まれたと言い放っていました。
何故かそのうちどこからか出てきたらしく、大丈夫になりました。自分もいつかそんなふうに認知症になるのかもしれません。子供にお願いしておかなくては。
私のクリニック目白
院長 平田 雅子